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いまさら聞けない!DX【中級編】

あけましておめでとうございます。
株式会社POQAは、皆様のさらなる発展をお祈りしております。

さて、2024年最初の記事は、DXと共に語られることの多い「2025年の崖」についてです。

2025年の崖は、誰に関係がある話なのか?

「2025年の崖」は、2018年に経済産業省が、「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」という資料で内容を説明しています。
以前の記事を読んだ方の中には、「仮にDX化をして飛躍的な進化をする道を選ばなかったとしても、これまで通りを維持していけばよい」と考えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、経済産業省は、「現行の状態を維持することそのものが困難になる」ということを指摘しています。
なぜならば、現行システムの基盤そのものが、今後製造中止や、そうでなかった場合もサポートが終了してしまうことが考えられるからです。
これによる経済損失は、2025年以降最大12兆円/年(2018年の3倍)になると予想されています。
つまり、「2025年の崖」の問題は、今現在、安定して継続している組織にも、関係のある話なのです。

本記事では、

①組織が現状所有しているシステムの課題
②ユーザー企業の経営層・各部門・人材の課題

にわけてご説明いたします。

①2025年の崖の原因 … システムの課題

 

上記の問題を抱えたシステムは、「レガシーシステム」と呼ばれています。

2018年段階の調査資料では日本の約8割の企業が、レガシーシステムを抱えている、という結果が出ています。

それでは、「レガシーシステムを抱えたままだと、どのようなデメリットがあるのか」を確認してまいりましょう。

・技術面が老朽化していること

技術面が古い場合、仮に部分的に新しい技術を取り入れたくとも、連携ができないことがあり得ます。

・人材確保の問題

少子高齢化による新社会人の確保、ITの進化に対して教育が追い付かない、などの問題から、IT人材を確保することは多くの企業の課題です。
さらにレガシーシステムの保守担当をする場合、技術面が古いことから、対応できる世代が限られています。
加えて、この世代は年齢の問題から今後リタイアしてどんどん減少されることが予想されるため、さらに確保は困難になるでしょう。

・システムが複雑化、ブラックボックス化すること

企業の成長・発展にあわせて、スクラッチ開発、そこからさらに改修を加えていくことによって、システムが複雑化してしまうことが多々あります。
その中で正しくマネジメントが行われていない場合は、開発の経緯や内容が残されず、システムがどのようにして動くのか外部からわからない状態(ブラックボックス化)になってしまいます。
そうしたシステムは、保守に高額な費用が掛かります。

・システムが分断されていること

一世代前のビジネスモデルの場合、システムは、個々の事業部門に最適化されたものがそれぞれ導入されていることがあります。
それが、IT化を最速で推し進めるために必要であったことは確かですが、それゆえ現在では、「企業全体を見れば、多くの情報資産を有しているにも関わらず、全体を通して情報を統合することが困難 → 結果、DX化に必要な、ビッグデータの構築、分析ができない」ということにつながってしまっています。

IPAが発表した、DX白書2023では、レガシーシステムの残存状態を、日本(DX取組あり、なし)とアメリカで比較しています。

アメリカについても、完全にレガシーシステムを更改済みの企業は20%を上回る程度ではありますが、「すでにレガシーシステムはない」「一部領域に残っている」の合計値は以下ののように隔たりがあります。

日本(DX取り組みあり)… 47.6%
日本(DX取り組みなし)… 22.9%
米国(DXの取り組みの有無を問わない)… 64.8%

DX取組なしの日本企業の場合、レガシーシステムの有無、またはその占める領域が不明な企業が40.8%も存在することも、今後の日本企業のDX化に対して不安材料の一つでしょう。

②2025年の崖の原因 … 経営層・各部門の課題
 

・経営層の問題

システムを刷新する場合、経営層の強いコミットが必要です。
とはいえ、現段階ではシステムが動いており、問題が顕在化していない以上、システムの見直しや刷新に対して、強い必要性を感じないことがあり得ます。

・事業部門と情報システム部門が抱える問題

経営層の意識の問題と同じく、システムが今現在動いている場合、事業部門自体がシステムの刷新に強い関心を持てないことがあり得ます。
しかし、実際にシステムの刷新を行うためには、事業部門の強いオーナーシップが必要不可欠です。
ですが、日本の企業の場合、「システムの刷新は情報システム部へ」あるいは「ベンダー企業へ」任せれば問題ない、という風土がまま存在します。
また、DXを実現するためには、「全体最適」を目指す必要があり、その場合、状況においては、「事業部門が業務をシステム側にあわせる」ということが求められる場合もありますが、これまで「業務にあわせてスクラッチ開発(システムを一から作成すること)」をしてきた場合には、こうしたことを受け入れがたい、ということも、課題の一つになるでしょう。

さいごに

今回の解説に利用した経済産業省のレポートは、6年も前のものではありますが、端々にハッとさせられるような言葉が出てきます。
筆者の印象に強く残ったのは、レガシーシステムが放置されがちであることを説明した、以下の一文です
「システム化の成功体験が、現場・経営者の中にあり、システムがブラックボックス化しても、システムが動いて機能している限りは、ブラックボックスの解明や、新たな構築方法を検討するまでに至っていない」
自組織に思い当たる節がある方、結構いらっしゃるのではないかと思います。

株式会社POQAにご相談いただければ、皆様の組織のさらなる発展を、お手伝いさせていただきます。